有閑堂

オカルト好きのブログ

映画「アイリス」

この頃映画館で映画を観ることがあまりなく(観たいと思う映画がないというのもあるけれど)、

殆どTVで観ている。

んなもんで、深夜のノーカット版はとても有難い。

そのノーカット版で「アイリス」を観た。


この映画はアイリス・マードックという作家(哲学者なのかも・・)とその夫の愛の軌跡を描いている。

アイリス・マードックは英国及び英語圏の国ではとても有名らしいけれど、

私は彼女の名前すら全く知らず、予備知識がないまま映画を観た。

アイリスと夫の年老いてからアイリスが亡くなるまでの姿に

若かった頃のアイリス達が交錯する形の映画になっている。


若い頃のアイリスは「タイタニック」のケイト・ウインスレット、

年老いたアイリスはジュディ・デンチが演じていて、意外にも二人とも

なんとなく雰囲気が似ているw


若い頃からアイリスは自分の信念に基づいて自由奔放に生きる魅力的な女性で、その夫ジョンは

(見た目は全くサえないw)アイリスと結婚しても、蝶のような彼女を本当の意味で捕まえることが

できずにいると思いながら、それでも必死に彼女の後を追いかけるという結婚生活を送る。

作家、哲学者であるアイリスの創作活動を尊敬し、励まし、

また一人の女性として崇拝しつづける夫ジョンの視点でストーリーは進んでいく。


しかし、年老いていくアイリスはいつしかアルツハイマー症候群に罹ってしまう。

だんだん自分を失っていくアイリスを夫は「夫婦は助け合わなければいけな」と

周囲が介護施設の入所を勧めても、頑なに断り、

家の中も自分もボロボロになるまで必死に妻を守り続ける。


自分はまだ老人介護の経験がないけれど、この映画で老人介護の大変さを少し垣間見た気がした。

映画だし、かなり綺麗に描かれているだろうから、実際はもっと壮絶なんだと思う。


ジョンってなんて献身的で仏のような心の夫なんでしょう思いつつ観てたら、

途中、アイリスの介護に行き詰ったジョンはある夜、妻の寝顔を見ながら

若い頃のアイリスとそのボーイフレンド達のことを思い出し、

「ずっと捕まえられなかった妻をやっと捕まえたと思ったら、痴呆老人になってしまってる

じゃないか!」みたいな(実際のセリフはもっと違いますw)、胸ぐらを掴むように、

眠っているアイリスの肩を掴んでワッサワッサ揺らしながら悪態をつく場面が人間臭くて

夫につい感情移入してしまった。


最早正気を失ってしまっているアイリスが「愛してる」と夫の顔を見て言った時、

夫は「昔は君と二人きりになるのが怖かった。今は君なしじゃダメだ。

明日がある、次の日もそして次の日も一緒にいよう、これ以上近づけないほど一つになろう」

とアイリスと歩きながら話しかけるシーンは画面的には決して美しくはなかったけれども、

だからこそ余計に素晴らしかった。


あんなに自分のことを愛し抜いてくれる人に巡り合えて女冥利につきるよね。。

これ以上近づけないほど一つになろうと愛し愛される関係を心から羨ましく思う。

もし、二人のホロスコープのシナストリー調べたら、

ドラゴンヘッドヴァーテックスやらの感受点が絡みあってて、

きっと前世から繋がっているソウルメイトだったに違いないと思ったりする。



映画の中でのアイリスのスピーチのシーンのセリフのどれも素晴らしく、

この女性は学者であるにも関わらず、魂は理性で凝り固まっておらず、

無意識にというか、霊的な世界のことまで

自然と理解できる人だったのかもと思わせる。