有閑堂

オカルト好きのブログ

something great

小川洋子と科学のいろんな分野の専門家との対談集「科学の扉をノックする」を読んだ。

ちなみに小川洋子の小説は一冊も読んだことがない。それでいきなり対談集ってどうなんだろうかw


科学者なんて人種は「わからない」という答えでは納得できなくて、どうにかして自分の知ってる理屈を

無理矢理にでもこじつける人だしなぁとオカ信者が持ちがちな偏見をしっかり持ちながら

(ってどっちが世間一般的に偏見持たれるほうやねん・・orz)ページをめくった。


本の中に出ていたのは天文(彗星)学、遺伝子学、細胞性粘菌、放射光での

物質解析、遺体科学、スポーツトレーニングの専門家達で

ド文系の私にとってはまったく未知の分野ばかりだったけれど、

小川洋子という人の素直で率直なインタビューとそれぞれ専門家達のわかりやすい

説明の仕方と適度な文章のボリュームのおかげで途中で投げ出すことなく最後まで何とか読めた。

地味な研究の積み重ねなんだろうけど、研究者達の研究対象物に対する愛を感じます。

粘菌の愛らしさをあんな風に語る人初めてだw


私がおっと反応したのは天文学者渡部潤一のところと遺伝学の村上和雄の部分で、

天文学者渡部潤一は今の天文学の技術ではわからないが確かに存在しているはずであろう

エネルギーや物体をダークエネルギーやダークマテリアルと呼んでいた。また、ビッグバンが起こる前、

空間や物質、時間さえも何もないところにそれら全てを創り出した「何か」を感じていたし、

遺伝学の村上和雄は、塩基配列を研究しているうちにこんなに完璧に塩基配列されて生命が

作られるなんて単なる偶然ではなく、人智を超えた何かの力が働いているに違いないと感じたけれど、

自分は科学者なので、使うと宗教っぽくなるからという理由で「神」という言葉を使わず、かわりに

その偉大な力を「something great」という言葉で表現していた。


なんだかすごくオカっていうかスピっぽくないですか(文字だけだとヘンやね)

科学を突き詰めていくとそういう神のみぞ知る領域を

垣間見たり、そこまでいかなくてもその気配を感じるということなのかな。

理系の成績が恐ろしく悪かった私にとっては彼らが既に「神」ですがw



とおりがかりにたまに立ち寄るある小さな本屋さんの店主はかつて

大学院で物理の研究をしていたけれど、物理をつきつめていった結果「何故だかわからない」という

結論に至り、その後研究をすっぱりやめて本屋の店主になったという経歴の持ち主らしい。

マニュアル化された大型書店とは違い、

個人経営の書店の本の取り揃え方はその店主の思い、考え方が表れているのかもしれない。

そこの本の取り揃え方を見ると何となく

「something great」を垣間見た人っぽさを感じるのは気のせいでしょうか。



「科学の扉をノックする」は集英社から出ています。