ある人から聞いた話。
その人が以前に住んでいた家は、独特の雰囲気があった。
ヘンな物音がしたり、なんとなく自分達家族以外の誰かが
その家の中に住んでいるような気がしていて、
家族みんなもそう感じていた。
ある時から
家族がテーブルにつき夕食が始まって暫くすると
「コンコン」とダイニングと廊下を仕切るドアをノックする音がするようになった。
誰かが来たのかと思いドアを開けるが誰もいない。
明らかに手がドアをノックする音だとわかるのに誰もいないのが気味悪かったが、
ノックがあまりに頻繁にあるものだから、
そのうち家族皆がそれに慣れてしまい、ドアを開けて誰かいるのか確認することもなくなり
食事中「コンコン」とノックされると
一瞬 話が止まり、お互い顔を見合わせて静かになるが、
そのことについて誰も触れず、
何事も無かったかのようにまた食事を続けるというのが日常になった。
慣れってこわいw
もうそこから引っ越してしまったけれど、
見えない住人は
家そのものに用があったのか、
それとも家族の誰かに用があってノックしていたのか
いまだにわからないとその人は言っていた。