有閑堂

オカルト好きのブログ

他愛ない話

何も考えずに電車に乗り込んでドアから2,3歩進むと、

前方の床に何か見える。

え?と思ったら盲導犬のレトリバーの後ろ足だった。

ヒールのある靴を履いていたので、いつもみたいにスタスタ歩いてたら

うっかり踏んでしまうところだった。危ない危ない。


レトリバーは飼い主の座っている椅子にぴったり沿う形で通路に横たわって目をつぶっている。

立っている乗客の邪魔にならないようにその女性は気を遣い、時々レトリバーの後ろ足を引き寄せて

いたけれど、犬の足は構造上それ以上は曲がらないと思うくらい十分折り曲げられていた。


レトリバーはガタガタと細かく振動する電車にも動じることなく、横たわって目をずっと瞑っていた。

盲導犬として訓練されているから当然なんだろうけれど、じっと飼い主の傍で待機しているレトリバーと

時々犬のやや通路に出っ張った後ろ足を気にしながら、足や体を撫でている女性の姿を

ぼーっと見ているだけでもなんだか心が解されて柔らかくなっていく気がする。


よく知らないけれど、この女性の元に来るまで厳しい訓練を乗り越えてきたんだろうなぁなどと

勝手に妄想しているとなんだかレトリバーがいじらしくなってきた。これからもがんばってな。


そのうち女性の降りる駅が近づき、女性がリュックを背負ったり降りる支度を始めたと同時に

その音を察知してさっと立ち、自分についている持ち手が飼い主に届きやすい位置に寄った。

目を瞑っていてもちゃんと神経は飼い主のところまで行き渡らせていたんですな、お見事です。

うちの子供なんて電車の中で煩いし

周りに迷惑かけっぱなしだよ・・親のしつけが悪いんだけどさ、、トホホ

なんて考えてる間も、飼い主の女性は待機してくれているレトリバーの頭を撫でたり

顔を両手でやさしく包んで

多分、ありがとうねとか色々労いの言葉をかけていたんだろう、そこから電車が駅に到着するまで

ずっと話しかけていた。もちろん返事なんてするわけないけど

ちゃんと二人の間で会話が成り立ってるように見えた。


あれだけ忠実でどんな時も主人のことだけを考えてそっと寄り添ってくれるんだもんなぁ

私はどっちかっていうと猫派なんだけど、犬を飼う人の気持ちがわかる気がするわ。

二人会話をしている姿を見ていると目頭がだんだんじわーと熱くなってくる。

こんな顔誰かに気づかれたら絶対ヘンな人決定だな(苦笑)

年取るとこんなことで涙腺緩むんだよね、、ぜんぜん知らん人だよ?しかも数分の間だけだw

あてくしなんか弱ってる?w 


そして、駅に着きドアが開くと飼い主の歩調に合わせて二人は降りていった。

あぁ いいもの見せてもらったわ・・ヘタな映画よりよっぽどいいやんかと思わせてくれる

数分間だったのでした。